手塚治虫100 その8「白いパイロット」
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5か月半ぶりの「手塚治虫100シリーズ」です。
実は、ヒット数が一番多いのがこのシリーズなんです。
中でも、「アトムの最後」と「奇子(あやこ)」の回には、
今でも一日数回から10回程度のアクセスがありよります。
今回は 『白いパイロット』 です。
これは僕が12歳の時に買った
「白いパイロット」の1巻です。
このころは、まだ上・下巻というよりは
1巻・2巻という方が多かったですね。
小学館から発売された手塚治虫全集の
1冊として、初めて触れました。
1961年夏から1962年春まで
「週刊少年サンデー」に連載されたものです。
「サンデー」では、「ナンバー7」に続く
少年集団活劇SF漫画です。
12歳の時に読んで以来、42年ぶりに
読み返してみて・・・・
絵は、「リボンの騎士」わ思わせるタッチですね。
ミグルシャ国の科学者が、人間複製機械を発明して、自分のこどもを実験台にして、
成功した直後、悪の手先に、殺されてしまいます。
その護送車に、偶然通りかかった王妃は、亡くした王子の代わりにと、一人を選んで連れてしまいます。
そして、一人はマルス王子として、一人は奴隷の子・伴大助として地下で暮らします。
伴と言えば、そう。
ヒゲオヤジの本名です。12年間取れない鉄仮面をはめられて、大助はヒゲオヤジの息子として育ちます。
こんな、お遊びのような実験的コマ割りを、時々手塚治虫さんは見せます。
とても斬新な映画的コマ落とし的アングルのようです。
地下の奴隷工場から脱走に成功した、大助たちは、
出来たばかりの「ハリケーン号」を奪い、逃走に成功します。
そして、「白いパイロット」として、悪のミグルシャ帝国と闘います。
ミグルシャ=「見苦しゃ」なんでしょうかね?発想は(笑)
2ページぶち抜きの、こういう画面。
鉄腕アトムの、7つの威力の解説を思い出します。
のちに、「サイボーグ009」にも、こういう解剖図のようなものは影響しています。
こども心に、ウキウキするものなんですね。
敵のメカも、縞模様でやたら強いタイガーや、ゴムでできた戦闘機スネーク、
飛行ロボット「ロボケット」、マルス王子が指揮をするモスラもどきの「13号」と少年の心をくすぐります。
ラストの結末は、複製された片方が、溶けていくところで終わります。
戦争の無意味さを描き続けた、手塚治虫さんは、まだ昭和30年代~40年代の作品に
多く戦争や争いごとの無意味さ、それによって失われる、大切なものを描き続けました。
いわば「ロミオとジュリエット」のラストに通じるものがあります。
ですから、ラストカットは・・・
1ページぶち抜きの、平和へのメッセージです。
こどもまんがと思って読んでいたら、ストーリーはこども向けでも
メッセージは大人も含めて永遠なんだ、と実感しました。
親子で読む「手塚治虫」漫画推薦本、しばらく発掘してみようと思います。
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by lawrence1107 | 2012-05-29 07:07 | 手塚治虫100