旅行中に読んだ本
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JRでの旅は、時間がかかるから嫌、という人も多いですが、
東京は別にして、大阪までなら、僕は列車の旅が好き。
ヒコーキではゆっくり読書する暇もないほどですが、
大阪までなら、ちょうど1冊分程度読める時間があるからです。
そして、高知駅-大阪駅の実質所要時間は大差ないですから。
土讃線の「振り子電車」に弱い人には無理な話になりますが・・・
『D列車でいこう』

広島県の田舎の第三セクター路線の年間赤字はたったの三千万円なのに、2年後に「廃線」決定という。奇妙な縁から集まった3人の作る「株式会社ドリームトレイン」が建て直しを謀り、成功までの過程を描く小説です。
その3人は55歳の大手銀行支店長(ただし、子会社への出向を命じられる)、58歳の元官僚(天下り3回で退職金2億円)、そして32歳MBAを持つ才媛美女という面々。
企業建て直し小説としても楽しく、中年起業小説としても楽しい。
人口も経済も停滞している田舎で、どうやって人を呼び込み、電車に乗せるか・・・このテーマはすべての企業の不振打開へのヒントになるだろうと思います。
あまり知られていない小説ですから、是非お勧めしたいです。
もちろん経営にタッチしていない人たちにもお勧めですよ。
『そうか、もう君はいないのか』

亡き妻、というと、きっと悲しい物語なのね、と思うかもしれませんが、生き生きとしてユーモラスでいとおしく感じさせる夫婦の関係は、「一対」ということばが当てはまるような、とても楽しいものです。
城山さんも、奥様の亡くなられた6年後に亡くなり、その後にこの原稿が発見され本になったというものです。なので、もしかしたら「発表するつもりで」書いたのではないのではないか、と思うほど、自身の内面を描写しています。
難しい顔をしている作家も、内面は子どもな部分もあるんだとほほえましくもあります。
そんなものだろうとは分かっているのですが、
それでも「にやり」ささせられる純情を感じる場面の多いこと。
夫婦とは、パートナーとは、純愛とは、そんな質問に答えたような城山さん最後の作品です。
by lawrence1107 | 2010-08-19 09:24 | 活字かつじ中毒